2019.5.23.授業プリント補足説明②
~交感神経による心筋制御~
①β1受容体が交感神経によって刺激を受けると、細胞内のACを活性化してcAMPを増加させる。
②cAMPはPKAを活性化する。
③PKAは電位依存性Ca2+チャネルをリン酸化(活性化)し、細胞内に流入するCa2+の量が増加して心筋収縮力が増す。
③’PKAは小胞体にあるホスホランバンという蛋白質をリン酸化する。その結果、筋小胞体のCa2+ATPaseが活性化され、刺激によっ
て小胞体から放出されるCa2+量が増加し、収縮力が増す。
③” PKAは収縮を抑制する働きを持つトロポニンⅠをリン酸化して、その機能を抑制する。→筋収縮
*3つのトロポニンについて
トロポニンCはCa2+と結合する。 トロポニンIは筋収縮の抑制機能をもちアクチンと結合している。 トロポニンTはトロポミオシン結
合活性を持つ。 これら3つのトロポニンは複合体を形成し、トロポミオシンに結合していて、アクチンとミオシンの結合を邪魔して
いる。Ca2+がトロポニンCと結合すると、トロポニンIとアクチンの結合が離れ、アクチン上のミオシン結合部位を隠していたトロポミオシンが移動して、アクチンとミオシンが結合できるようになり、収縮が起きる。
~副交感神経による心筋制御~
①M2受容体が副交感神経によって刺激を受ける。
②細胞内のACの活性が抑制され、cAMPが低下する。→PKAの活性化が低下する。→筋弛緩。
②’ βγサブユニットが電位依存性Ca2+チャネルに結合して、 Ca2+流入を抑制する。→筋弛緩。
②”βγサブユニットがGタンパク質制御性K+チャネルに結合して、チャネルが開口する。→細胞内K+が細胞外に出て、膜電位をマ
イナス側へ低下させる。→脱分極の際に活動電位の閾値に達するまでの時間がかかることになり、発火頻度が減少し、心拍数
が減少し、刺激伝導速度も低下する。